「発音の際に一言二言」(2)
「20120902」第十三回
鼻母音uenが、前に子音と組んで音節を作る際、uenのように真ん中の母音が弱く発音されることから、(前回(1)複母音のiou ,ueiと同様) それを落として表記するのです。ただし、発音の際は特に第3声(ついで第4声)はやや長めに発音されるので、その“e”の音が出てきます。
またまた、決まり決まりで、皆さんに対してただ決まりが悪いのですが、ここは一番眼をつぶって大目に見て(“睁一只眼闭一只眼zhēngyìzhīyǎn bìyìzhīyǎn”見てみぬ振りをする)口を開いてください。
表記されない“e”(-un)
声母+uen → 声母+un
例) c + uen → cun zh+ uen → zhun
声調をつけて文字を与えて
cūn村 zhǔn 准
次の文章を読んでみましょう。
(1)应该尊重他人的意见。
(Yīnggāi zūnzhòng tārén de yìjiàn。)
(2)世界混沌,社会混乱。
(Shìjiè hùndùn,shèhuì hùnluàn。)
(3)她爱吃馄饨。(Tā ài chī húntun。)
(4)吃鸭蛋(chī yādàn)
(5)滚蛋(Gǔndàn!)
(6)浑蛋 ,滚出去!(Húndàn! )
(7)他是个混蛋。(Tā shì ge húndàn。)
(8)王八蛋(wángbādàn)
今回は一部?ののしり言葉や悪い意味ですみません。
(1)人の意見は尊重すべきです。
(2)世界は混沌として、社会は混乱している。
(3)彼女はワンタンが好き。
僕は取ったことが何度もありますが、あなたは?
(4)試験などで零点を取る。
(5)消え失せろ(出て行け)!
(6)馬鹿(たわけ)。出て行け!
(7)奴は馬鹿(たわけ)です。
中国では、なんとカメはめでたくないのです!
(8)恥知らず。ばか野郎(王八蛋 ;ワンパターン)“忘八” とも言って、人として知って
いるべき8つの徳目(孝・悌・忠・信・礼・義・廉・恥)を忘れた者の意。
同音の“王八”には一、「カメ・スッポン」、二、旧時妻を寝取られた男などの意があり、人をののしる言葉として使われる。したがってカメはウスノロで現代中国では馬鹿にされる対象です。
先の北京滞在中(2012年8月19日)次のような料理を出しているの台湾料理屋に行ってきました。
「混蛋包húndànbāo」(ばか野郎パン)写真参照 >>
精選されたオートムギ使用の各種卵混ぜパン(鸭蛋《yādànアヒルの卵》•鸡蛋《jīdàn鶏の卵》•卤蛋《lǔdàn塩茹で卵》•炒蛋《chǎodàn煎り卵》•蒸蛋《zhēngdàn蒸し卵》などの混ぜ卵)の意味だが、このようなパンは実際一般に別の店で売られていないから、これは勝手にこの店が付けた商品名で、一般の中国人が見ればふざけたネーミングだが、ユーモラスで笑えるのです。
「発音の際に一言二言」(1)
「20120806」第十二回
発音の表記はローマ字、「拼音pīnyīn」でしますが、複母音iou,ueiが前に子音と組んで音節を作る際、iou ,ueiのように真ん中の母音が弱く発音されることから、それを落として表記するのです。ただし、発音の際は特に第3声(ついで第4声)はやや長めに発音されるので、それぞれ“o・e”の音が出てきます。
またまた、規則規則で嫌になってきますね。ここは発音することによって慣れることが一番でしょう。
「習うより慣れろ」といいますよね、最初は習いますが、やはりその後はその精神でやってみましょう「实践出真知」(shíjiàn chū zhēnzhī實踐出真知)。
Ⅰ)表記されない“o”(-iu)
声母+iou → 声母+iu
例) j+ iou → jiu l+ iou → liu
声調をつけて文字を与えて
jiǔ酒 liù六
Ⅱ)表記されない“e ”(-ui)
声母+uei → 声母+ui
例) d+ uei → dui sh+uei → shui
声調をつけて文字を与えて
duì对 shuǐ水
次の文章を読んでみましょう。
(1)他爱打麻将,经常和七对
(Tā ài dǎ májiàng,jīngcháng hú qī duì)。
(2)谁是酒鬼(Shuí shì jiǔguǐ) ?
(3)她不是酒鬼(Tā bú shì jiǔguǐ)。
(4)他就是色鬼(Tā jiù shì sèguǐ)。
(5)他也是烟鬼, 赌鬼(Tā yě shì yānguǐ,dǔguǐ)。
(1)彼はマージャンが好きで、いつもセブンペア(7対:同一牌が二個づつ14牌での上がりの一つの形)で上がる。俗に「ニコニコ」といって、マージャン初心者が最も早く覚える役(ゲームで上がり)で、出来上がって勝ったときはみな「ニコニコ」します。マージャンを習い始めたときの我がジャン友、ザ・ファニーズ(ザ・タイガースの前身)時代の加橋かつみの笑顔を思い出します。
(2)誰が飲んだくれ?字面だけでも本当に「酒の虫」みたいですね。
(3)彼女は飲べいではない。
(4)彼こそ色情狂。
(5)ヘビースモーカーでギャンブラーでもある。ボブ・ディランの『朝日の当たる家』という曲の歌詞には「親父はギャンブラーの酔っ払い・・・」とありますが、最悪ですね。
個人的に言っていないので詮索しないでください。
「鼻母音」について
「20120709」第十一回
前回は「子音」でしたが、今回は鼻母音についてお話します。鼻母音はみんなで16個あります。「まだあるのか、いやになってしまうよ」といわないでもう少しです。もう少しすれば中国語の発音がすべて習得できるのですから、
加油加油(jiāóujiāyóuがんばれがんばれ)!
中国語の鼻母音には、-nと -ngがあり、この違いによって区別され、意味がはっきりと異なります。日本人にとってはともに「ン」と聞こえるので厄介なのですが、また日本人同士ならどちらでも通じるからいいのですが。
でも少し面倒くさいのですが、漢字を訓ではなく音で読んだ場合は実は分かりやすいのです。つまり、元読売ジャイアンツの王選手は「王」ですから、音で読んだ場合「オウ」で「ン」でおわりませんから「wang」となり、茶碗の「碗」は「ワン」で「ン」でおわり「wan」となります。
これからは王さんことを「ワンー」チャンと鼻にかかるように呼びましょう。
このような言語習慣が我々日本語にないから大変ですが、これが中国語の「n」と「ng」の違いです。ですから中国語では「n」のときに「ng」で読むのは文字通り「ng」です。
an | en | ang | eng | ong |
ian (yan) |
in (yin) |
iang (yang) |
ing (ying) |
iong (yong) |
uan (wan) |
uen (wen) |
uang (wang) |
ueng (weng) |
|
üan (yuan) |
ün (yun) |
※( )内は前に子音がないときのつづり方。
「n」と「ng」の違いで意味がこんなに違うのです。
金鱼(jīnyú 金魚) 鲸鱼(jīngyú 鯨魚)
金子(jīnzi 金・金塊) 精子(jīngzi 精子・精虫)
これらの鼻母音を使った例文を見てみましょう。
救命恩人(jiùmìng ēnrén命の恩人)。
汉语拼音方案(Hànyǔ pīnyīn fāng`àn 漢語拼音方案 中国語ローマ字表音方案)。
风和日丽艳阳天(fēng hé rì lì yànyángtiān 風やわらぎ日うららかな春の日和)。
次にあげた動物はなんでしょうか?
(1)老虎(lǎohǔ)
(2)老鼠 (lǎoshǔ)
(3)老鹰(lǎoyīng)
(4)松鼠(sōngshǔ)
(5)狐狸(húli)
(6)乌鸦(wūyā)
(1)虎。“老虎乐队Lǎohǔ yuèduì”は「The Tigers」。
(2)ネズミ。家ネズミは“家鼠jiāshǔ”。 “米老鼠Mǐlǎoshǔ”はミッキーマウス。 “老鼠爱大米lǎoshǔ ài dàmǐ”は2004年ネットで大ヒットした中国は武漢の楊臣剛の曲。「ネズミが米を大好きなように、僕はそれくらい君が好き」という曲。
(3)トビ。タカは“ 鹰yīng”、タカの素性は面が割れててタカが知れている。
(4)リス。どうか反対に読まないで。
(5)キツネかタヌキか?蕎麦屋へ行ったら迷う。キツネ。タヌキは“狸子lízi”。ちなみにどちらも美味いですね。
(6)どちらもカラス、それなら二羽のカラスなの、それとも雌雄?ガラスではありません。どっこい二字でカラスの意味です。
国名シリーズ(2)
「20120611」第十回
次の国名(
guómíng
国名)わかりますか?
まだ本にはなっていませんが、ホンノ一言!
およそどの国でも有名建築物の製作者の名は「刻銘(国名)」があって知られていて、当然「知名(地名)」度が抜群に高いのです!?
(Nán Cháoxiǎn ・ Hánguó 南朝鮮・韓國)
(1)印度尼西亚(Yìndùníxīyà)
(2)阿拉伯联合酋长国(Ālābó liánhé qiúzhǎngguó)
(3)墨西哥(Mòxīgē)
(4)俄罗斯(Éluósī)
同じ国でも呼び方書き方がこんなに違うものですね。
解答(jiědá答え)
(1)インドネシア (2)アラブ首長国連邦 (3)メキシコ (4)ロシア
「ロシアについて一言」
鲁西亚(Lǔxīyà)→ 露西亚(Lùxīyà)
現代日本語の漢字表記は露西亜で、略称は露。江戸時代にはオロシャ、をろしやとも呼ばれていました。これは、中国語の「俄罗斯(Éluósī
俄羅斯)及びモンゴル語のОрос(オロス)に近い呼び名です。日本の江戸時代から戦前にかけては魯西亜という表記が主流で、1855年に江戸幕府とロシア帝国の間で初めて結ばれた条約は「日本国魯西亜国通好条約」という名称になりました。この漢字表記について1877年(明治10年)にロシア領事館から「魯は魯鈍(愚かなこと・様子)を連想させる」との抗議をうけた当時の日本政府は、ロシア側の希望を容れ表記を露西亜としました。
ですが「露」の字も「日(=日本)が昇ると露(=露西亜)は消える」というマイナスイメージがあることから、この様な表記の変更をあえて受け入れたことに当時の対ロシア観があらわれているとする見方もあります。
でも元来は江戸幕府はロシアを最高に尊んで「魯」という語を用いたのであります。つまり「魯」は、中国では秦の始皇帝(更に言えば毛沢東)以前・以後も含めて、最も偉大な聖人である孔子生誕の地なのです。孔子はキリスト・釈迦と併称される世界の三大聖人の一人です。
その孔子が生まれた「魯」の国、この地こそ中国のメッカ、聖地なのです。その聖地の名をロシア政府に敬してつけたのに、当のロシア政府はその歴史的意味を知る者がいなくて、単に字義「魯鈍」の「魯」、「鈍い」という意味で通りに解釈して、抗議したのでした。
それに対して、明治政府は絶妙な皮肉で切り替えしたのです。「露」という語はまったくよい意味を持っていません。「露見・露悪・暴露」などという熟語が示すように。また、古くから「人生如朝露」(人生は朝露(ちようろ)の如(ごと)し:人生ははかないもので朝の露のようなものである。日(本)が昇ると露(ろ・つゆ)と消えてなくなるようにはかなく短い)
明治時代の日本人は漢字の国中国人に勝るとも劣らない気骨を感じますね。
ちなみに、
露西亜の「亜」は二番目という意味です。「亜聖」は「孟子」のことで、〔孔子〕に次ぐ第二番目の聖人といわれています。ついでに、僕の慶応大学の先輩小林「亜星」は音楽家、京都府立山城高校の後輩は尾崎「亜美」はシンガーソングライター!!!???
続ちなみに、
〔1905年(明治38年)日露戦争に勝利〕
征露丸(1902年発売)→のちに「正露丸」(1945年改名)
〔征(服)露(西亜)の丸薬では問題なので〕
日魯漁業(1914年設立)→のちの「ニチロ」(1990年社名変更)
その後は、様々にロシアに気を使っているのですね。
続々ちなみに
ロシアの古都(gǔdū)は ペテルブルグ(圣彼得堡
Shèngbǐdébǎo)(旧称レーニングラード列宁格勒 Liè níng gé lè )
続々俗ちなみに
山本有三の小説『真実一路』やマリナーズの「鈴木イチロ(ー)」は関係ありませんね。