引き続き「声調変化」
「20130620」第十六回
昭和27年(1952年)ラジオドラマで放送され、爆発的な人気を博した脚本家菊田一夫の代表作「君の名は」ではありませんが、
「忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ」と。
昭和28年-29年(1953-1954年)映画は岸岸岸、岸恵子と佐田啓二(中井貴恵・中井貴一の父親)が主演しました。勿論、僕はともに聞・見し、忘却しません。皆さんは?
この「瞳みのるの面白中国語講座」ずいぶん長い間お休みをいただきました。こんなに長く時間が空くと、すっかり忘れ去られているのではないかと心配しております。以前何処までやったのか、実は僕とても「Over the Rainbow」(虹の彼方に)ならぬ、すっかり「忘却の彼方」に近いのです。
さて、引き続き「声調変化について」
「性ホルモンの影響による二次性徴の一種で、特に男子に顕著な、思春期から起きる小児から成人型への音声変化」ではありません。つまり声変わりではありません。すみません前置きが長くて。
日本語にもありますが、語と語の組み合わせから、音声の抑揚の調子が自然と発音しやすいように変化して話される傾向です。次のような場合、声調変化が起きます。
声調変化(2)
a) 3声+3声
3+3 → 2+3
nǐhǎo → níhǎo
你好
※3声+3声では→2声+3声に変わりますが、このように声調が変化しても、声調記号はもとのまま表記します。
3声の音は他の声調より長く、他の声調と同じように発音すると間延びしたようになり、そのように聞こえるので、勢い短くしようという傾向が働くのです。
b) 半3声
3+1・2・4・軽声 → 半3+1・2・4・軽声
hǎochī
好吃
※半3声とは、3声の後に1・2・4・軽声が続くと、3声の尻上がりの部分がなくなり、低く抑えることをいいます。3声の基調はこれです。
c)1・2・4+3声
Qqiānbǐ
铅笔
>※3声で終わる場合、尻上がりの部分は、低く抑えるために使ったのどの緊張が緩むと自然につく、(言わばおまけの)部分です。
語学的な味気のない例文ばかりだと学んでいてもつまらないでしょうね。学ぶとは真似るから来ている言葉だといわれますが、人間はオームのように意味もわからず同じことを音声的にくりかえしても、ものごころつかない子供ならいざ知らず、やはりいい歳の大人は意味を理解した上で覚える方が実際的だと思われます。
ということで、多少我々の生活に根ざした日常語をと思い例文を作りました。皆さんに興味を持っていただけますか。
a)
我想(Wǒ xiǎng)。私は思います。
声調はそれぞれ、3(声)+3(声)ですが、読み方は2+3(または、3+3でも可)です。
我想你(Wǒ xiǎng nǐ)。私はあなたが好きです。
声調はそれぞれ、3(声)+3(声)+3(声)ですが、読み方は2+2+3または、3+2+3でも可です。
我很想你(Wǒ hěn xiǎng nǐ)。私はとてもあなたが好きです。
声調はそれぞれ、3+3+3+3ですが、読み方は2+2+2+3または、2+3+2+3でも可です。
b)
好听(hǎotīng)。 いい音。
好闻(hǎowén))。 いい匂い。
好看(hǎokàn)。 きれい。
好啊(hǎo a)。 いいです。
c)
出口(chūkǒu)。 出口。
门口(ménkǒu)。 門口。
入口(rùkǒu)。 入口。
次の語はどのような意味でしょうか?
毛むくじゃらではありません。毛蟹でもありません。?
(2) 大手大脚(dàshǒudàjiǎo)
末端肥大ではありません。
(3) 小手小脚(xiǎoshǒuxiǎojiǎo)
可愛い子供の手足ではありません。手足纏でもありません。
(4) 缩手缩脚(suōshǒusuōjiǎo)
短小でも短足でもありません。
(5) 笨手笨脚(bènshǒubènjiǎo)
竹でも本でもありません。
(6) 粗手笨脚(cūshǒubènjiǎo)
ごつごつした手足でしょうか。
解答
(1)そっかしい。粗忽である。
(2)金遣いがあらいさま。⇔小气(xiǎoqi)・吝啬(lìnsè)
(3)けちけちする。⇔大气(dàqì)
(4)手足が縮こまる。しり込みする
(5)不器用である。笨(bèn);愚かである・不器用である。
⇔心灵手巧(xīnlíngshǒuqiǎo);頭がよく手先も器用。
(6)手先の不器用なこと。動作が機敏でないこと。
「圣诞快乐(聖誕快樂shèngdàn kuàilè)」
メリークリスマス!
「20121224」第十五回 「冬季夏季対策安眠法」
今北京の気温は-10度、黒竜江省は-30度、ウルムチは-40度だそうです。
冬季北京あたりでは、商店、スパー、料理店などの出入り口に、暖帘(暖簾nuǎnlián)、または棉帘(棉簾miánlián)ともいう、地面まで届くような厚い布製または綿を入れた布団のようなものかけ、外からの冷たい風を人の出入りの際に入れぬようにしています。
我が国では一年中料理屋や各家庭内で見かける「のれん」はこの「暖簾」がなまったものです。僕も横浜の日吉で教員をしていたころ下校時は渋谷駅にあるデパートの東横「のれん街」によって夕飯の準備のためによく食材を買ったものでした。
たとえば北京のような本来の「のれん」が各店にかかっていたとしたら、出入りも容易ではないし、中は外から見えないので、恐らく買い物客はあまり来ないでしょうね。
このところめっきり寒いので話はディズニーの「ダンボウ」ではなく、「暖房」について、この時期睡眠時「湯婆」があるといいですね。まさしく急にこのように言うのはいささか「乱暴」ですが、皆様は本来の意味をご存知でしょうか。
まさか、温泉地の湯加減を見る老婆なんかではありません(そんな人いましたっけ?)。「湯」は「开水(開水kāishuǐ)」で熱湯のこと、ホットウォーターで、「婆」は「老婆(lǎopó)」(「太太tàitai」ともいう)のこと、中国語の意味では「奥さん・嫁さん・女房」のことです。この「汤婆」という言葉は、日本語の「湯たんぽ」のことになります。女性は冷え性の方が多くいらっしゃいますから、このように言うのでしょうか。おそらくそのようなことではなく、冬季ヤモメが一人寝では布団の中が冷たいので中を温めてくれる奥さん替わりの人ということからのネーミングでしょうか。僕も昔使っていました。実に気持ちいいです。勘違いしないでください。子供の頃です。このような暖房具があれば、睡眠時足元がホカホカとあったかく安眠できるというわけです。
でも、今ではもう使われなくなってきていますね。電気あんか、電気毛布、「ホカロン」で有名な使い捨てカイロなど普及していますから。
避寒とくれば一応避暑の話もしないわけにはいきません、さて暑さをより快適に眠るには、やはりダッチワイフが一番でしょう。ああ、また勘違いしないでください。僕が言っているのは正しいダッチワイフの使い方です。
中国語では「竹夫人zhú fūrén」といい、「抱きかご」のことで、人間は眠るときものに抱き付き眠る習性がありますよね。ありませんか。ともかく何かに抱きついていれば安心感が得られるようです。母親の胎児の記憶があるのでしょうか。
夏の暑い夜、布団だとかタオルケットだとかでは身体とその夜具の間に熱こもります。そこで、竹ではなく(竹はささくれ立ちますから危険です)、籐で編んだ寸胴型の筒のようなものを抱いて眠るのです。これに「陶枕(táozhěn)」とは、陶器でできた枕、枕の中はがらんどうになっていて、風が通り熱がこもらず、夏季にあって陶器がひんやりして頭寒足熱の「頭寒」というわけです。だだ、陶器製の枕は慣れなければ固くて痛いでしょうが、この人形と枕を併用し、ただし、特に紳士諸氏にあっては不正使用さえしなければ、夏は安眠間違いなしです。
「声調変化 (1)」
「20121028」第十四回
子供の成長変化を見ているのは楽しいものですね!?すみません、いやここでは子育ての成長変化ではなく、中国語発音上の声調変化についてでした。
第一回でお話しましたが、中国語(北京語)には四声といって四つの声調があり、さらに軽声といってそれ自体自分の高低差を持たない音があり、その前にくる音によって声調の高低が変化するのです。
まったく日本の外交政策のように主体性が無いので困ったものです。しかし四声及び軽声は大変重要な中国語発音上の決まりですから、学ぶ姿勢が重要で外交政策同様形勢が不利にならないよう注意しましょう。
māma 妈妈 (母) |
yéye 爷爷 (《父方》祖父) |
nǎinai 奶奶 (《父方》祖母) |
bàba 爸爸 (父) |
(左上から) |
上の図、直前にくる(—・∕・∨・\ )各音の声調よって、その後にくる軽声を表している●の音の高低(位置)が変化します。
二つの音の組み合わせですが、軽声の音の長さは直前の音1に対して0.5くらいで短めです。
主として軽声と組んで用いられる語の特徴は以下のようなものがあります。
○一字でもあまり意味が変わらないもの:姥姥,弟弟,哥哥,姐姐
○小さく可愛いもの:孩子、饺子、帽子、
一声:「高く真直ぐ」、二声:「下から急上昇」、三声:「低く抑え」、四声:「上から急降下」。
例えば;
都会か田舎によってではなく、軽声かいなかによって、意味が大きく変わる言葉があります。
地方 | (dìfāng) (dìfang) |
地方、当地 所、場所、部分 |
东西 | (dōngxī) (dōngxi) |
東西、東から西まで 物、物品 |
妻子 | (qīzǐ) (qīzi) |
妻子 妻、女房 |
男人 | (nánrén) (nánren) |
男、男性 夫、亭主 |
女人 | (nǚrén) (nǚren) |
女、女性 妻、女房 |
别人 | (biérén) (biéren) |
ほかの人 (=人家)他人 |
劳动 | (láodòng) (láodong) |
労働(する) 煩わす |
大意 | (dàyì) (dàyi) |
意、あらすじ、あらまし うかつである、いいかげんである |
あまりにもありすぎて、またその微妙な違いに、サザエさん隣家のように、いささかうんざりしましたか?
太辛苦了(Tài xīnkǔ le大変おつかれさまでした)!
谢谢你们听讲了(Xièxie nǐmen tīngjiǎng le 謝謝你們聽講了 皆さん受講有難うございました)。